優しい世界の愛し方
夕闇に隠した
「なんでこんなことにになってんだろ……」


はあ、とため息をつく私。


それをかき消すかのようなスポーツ部員のかけ声。

たちこめる土けむり。

流れる汗。


そう、私は今グラウンドのはしっこにいる。


休憩用のベンチに座って、スポーツ部の練習風景を見ているのだ。


いや、私がスポーツ好きだからとかじゃない。
むしろ運動は苦手。

そうじゃなくて……。


「及川ー! お待たせ!」


さわやかな笑顔を浮かべながら、来栖くんが走ってくる。
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