異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 まさか敵に手の内を明かすようなまねはしていないとは思うけど、リズがオレの言動をモニタリングしていないとは限らない。
 音声通信の時オレがひとりかどうかわかっていなかったってことは、細かい行動までは把握されていないようだ。

 オレは黙って上着を脱ぎシャスに渡す。シャスも何も言わずに受け取り、オレが飛行装置を背負ったのを見計らって上着を返してくれた。

「じゃあな。班長と二課長があとで事務室に来いってさ」
「うん。わかった」

 シャスと別れてエレベータに乗り込み正面玄関を目指す。エレベータも一階の玄関へ続く廊下やホールも定時上がりの事務官局員でごった返していた。紛れ込むのにはちょうどいい。

 正面玄関にはセキュリティゲートの左右に人の警備員とロボット警備員がいて通る人に機械的に敬礼をしながら挨拶をしている。
 いつもなら名前を呼びながらにこにこと敬礼してくれる彼らが、今日は他の局員への対応と同じように機械的だ。

 いやまぁ、初のロボット捜査員であるオレって警察局のマスコットみたいな存在でもあるから、局内だとどこに行ってもおおむね歓迎されるのだ。

 もしかして二課長から声をかけないように指示がきてるのかな。
 リズが聞いてるかもしれないので、なるべく会話は控えたいからありがたいけど。
 人の波に紛れて外に出たオレは、リズが指示した地図の場所を目指す。局の建物を離れるに従って、無意識に足は加速していった。

 目指すは官庁街のはずれにある科学技術局。

 はやる気持ちそのままに、オレはいつの間にか駆け出していた。



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