異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 渦巻く数多(あまた)の感情が一気に膨れ上がり、制御しきれなくなったのか、リズの肩が震え始めた。 オレの腕にすがるようにして、額をつけ涙声で小さくつぶやく。

「ごめんね、シーナ」
「どうした? なにか怖い目に遭ったの?」

 顔をのぞき込むと、リズはますますうつむいて、激しく首を振る。

「違うの。私が軽率だったの。だから、ごめんね」
「もういいから。ムートンもトロロンも君の帰りを待ってる。一緒に帰ろう」

 おもむろに顔を上げたリズが潤む瞳でオレを見上げた。涙があふれて頬を伝う。
 いったいどうしたんだ。

 何か言おうとリズが口を開きかけたとき、部屋の奥からグリュデの冷たい声が静かに響いた。

「シーナ、君は一緒には帰れないよ」
「え?」

 どういうことだ? 人質交換か? それじゃまるっきり犯罪じゃないか。いくらオレが備品でも、そんなの警察局が黙っていない。
 ここに至るまでの経緯にしたって、リズが自分でやってきたとはいえ、限りなく黒に近いグレーだってのに。

 そんなに頭悪そうには見えないが、何か裏があるのか?
 って、裏なんてバージュモデル人格形成プログラムのソースコードしかないだろ。
 でもオレに何の関係があるのかわからない。

 相変わらず感情の読めないグリュデを、探るように見つめながらオレは尋ねた。

「意味がわからないんですが」

 グリュデはオレを哀れむように見つめて言う。

「君が科学技術局所有のライセンスを侵害した違法ロボットだからだよ。君を所有しても違法にならないのは科学技術局だけだ」


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