異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


「あ、アレはほら、命令を阻止するためには口をふさぐしかないし、オレは両腕を拘束されてたから……」

 しどろもどろに言い訳をするオレに、リズは冷ややかなツッコミを入れる。

「他に方法はなかったの?」

 他に……。頭を両手で掴んで胸に押し当てるとか?
 でもリズが窒息する危険があるし……。


 シミュレーション結果。
 窒息の可能性は0.03%。


 うるせー、人工知能。茶々入れんな。

 咄嗟に他の方法を思いつかなかったのは事実だけど、結果的にリズの心を翻弄したことには変わりない。オレは素直にうなだれた。

「ごめん」

 だがリズの感情は収まっていない。オレに別の答えを期待しているのはわかるが、応えるわけにはいかない。オレはただのロボットなんだから。
 幸せを祈った同じ口で、幸せとは言い難い未来を提示するなんてできない。リズが幸せに暮らしていくことはオレも願ってるんだから。

 黙っているオレを苛々したようにリズが追及する。

「私の気持ちはわかってるでしょう? でもあなたの気持ちは私にはわからないの。知りたいのよ。命令させないで。あなたの意思で、あなたの言葉で、ちゃんと話して」


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