異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 マスターの命令受理。
 現在の相対距離0.7メートル。
 痛覚レベル+3負荷作動。


「いてーっ!」

 リズの命令を人工知能が受理したと同時に、彼女のそばにいたオレは、全身に刺すような痛みを感じてのけぞった。
 また痛い目に遭ってはたまらないので、よろよろとリズから離れる。

「こんな痛い命令いやだぁ」

 思わずつぶやいたオレの泣き言を、人工知能が冷ややかに拒絶する。


 マスターの命令はマスター以外の撤回不可。


 わかってるけど、オレの頭脳のはずなのにオレに冷たすぎる。

「距離を取ってれば痛くはならないわよ。行きましょう」

 痛い目に遭ったオレを見て気が済んだのか、リズは先に立ってさっさと歩き始めた。
 オレは距離を保ちながら後を追う。

「いや、ヤバイってこの命令。距離を取ってたら君に危険が迫ったとき守れないだろう?」
「心配無用よ。そんなときは命令が無効になるから。私の命令より絶対命令の方が優先順位が高いもの」
「ちっ、気付いてたか」

 命令は撤回してもらえそうにない。明日の夜明けまで気をつけないと。
 気を逸らすことには成功したようだが、マジで痛かった。


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