異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 米(のようなもの)、卵、とり肉、タマネギ、マッシュルームによく似た白玉キノコ、まんまトマトのトマーテをペースト状にしたものに、塩コショウ系ハーブ入り調味料。買ってきた材料をシンクの横に並べながらロティが尋ねた。

「これでなにを作るの?」
「オムライス」

 リズに事前リサーチした結果、おいしかった食べ物は、子供の頃にバージュ博士が作ってくれたオムライスしか思い出せないと言われたのだ。

 オレも作り方や材料は知らない。リズに何が入っていたかを思い出してもらって、他はオレの記憶を元にリズにクランベールの食材に変換してもらってロティに買い物を頼んだ。
 オレは勝手に外出できないしお金も使えないが、ロティは仕事の都合上どちらも可能な設定なのだ。

 てっきりオムライスはクランベールでもポピュラーな食べ物なのだと思っていたが、ロティは不思議そうに首を傾げる。

「それってどんなものなの?」
「え、知らない?」

 そういえばバージュ博士は母親が日本人だったっけ。ということは、リズはそれと知らずに日本独特の料理を食べていたということか。

 困った。作り方に関しては完全にロティを当てにしていた。見た目だけで作れたりしないかな?

 記憶にあるイメージと味をデータ化してロティに送ってみる。

「こんな感じ。作れそう?」
「うーん。初めて見る料理だから、おいしくできる保証はないけど」
「だよなぁ」

 オレがため息と共にがっくりとうなだれたとき、突然給湯室の扉が開いた。飛行装置の訓練場に行っているはずのシャスがオレたちを見つめて、驚いたように一歩退く。

「おっ。なにやってんだ、おまえら」
「あ、シャス。おかえり」
「おかえりなさい、シャスさん。お茶を淹れましょうか?」

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