28才の初恋
「あの……俺……その……どうすれば」

 あまりにも事が大きい。
 入社して二年目の、ましてやこの営業二課に来てからまだ一ヶ月も経っていない大樹クンには対処しきれない程に大きな問題となってしまっているのだ。
 大樹クンの動揺は当然のものであろう。

 うう……本当に替われるものならば替わってあげたい。
 今すぐ大樹クンの代わりに『恒久』まで行って、土下座でも桃代部長の靴でも舐めて解決して来てあげたい。

 しかし、それでは問題の解決にならないのだ。
 まずは失敗をしてしまった大樹クン自身が桃代部長から許しを貰い、それから取引を元の形で続行できなければ……大樹クン自身の評価に関わってしまう。

 まずは、失敗した当人に相手へ謝罪させる。
 それから、いかにこちらの損害が少ない形で今回の件を解決するかだろう。
 そこが評価の分かれ目になる。
 
――ああ、本当に私が代わってあげたい!!
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