28才の初恋
 事態は思った以上に深刻だった。

「すいません、桃代部長……電話を受けてくれませんでした……」

 これは……かなりの怒り方だ。
 まあ、企業の部長であれば当然のことだとは思うが。それにしても電話にさえ出ないとなると、これはかなり手強い。
 取り付くシマもない、というヤツだ。

 そんな対応を受けた大樹クンも、これまた見るのもツラくなる程に落ち込んでいる。
 くそう……こちらがミスしたのでなければ桃代部長をメッタメタに叩きのめしてやりたい。
 私の大樹クンをこんな目に合わせるなんて!!

……まあ、大樹クンのミスから始まってしまったことなんだけど。

 その辺りには目を瞑ってしまいたいのが乙女心である。
 好きな人にはヒイキをしたくなるものだ……って、そんな事を考えている場合じゃない。
 大樹クンの精神的なダメージが……どうやら限界を超えてしまっているっぽい!

「もう、俺……どうやって責任を取ればいいか……」

――思いつめた表情……これはマズい!!
< 134 / 518 >

この作品をシェア

pagetop