28才の初恋
――こ、これはキケンだ!

 これ以上は洗剤を投入してはいけない、先ほどの実験結果からそう悟った。

 しかし、この紫のヘドロをなんとか除去しないことには……キッチンを使用できない。
 そうなると、大樹クンにお茶を出してあげることさえ出来ないし、それ以前にリビングから見えるキッチンなのだ。
 間違いなくドン引きされてしまう。

 このヘドロを掬い取って、ゴミ袋に入れて捨ててしまうという案も考えたのだが……オタマを溶かしてしまうほど強力な物質だ。
 私の手が無事に終わるとはどうしても考えられない、っていうか確実に手が溶ける。

 とりあえず、薄めれば少しは毒性が弱くなるんじゃないか、なんて考えて流しに水を出してみる。
 そして、巷で汚れに効くといわれる物質を手当たり次第にブチ込んでみた。
 ラインナップは塩、銅、銀、酢、ついでに昔、通販で買った魔除けとやらも投入してみた。

――これだけ入れれば、何か効き目を発揮するだろう。

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