28才の初恋
 リビングのソファに座り、先ほどの掃除で地層の下の方から発掘しておいたビスケットを取り出す。

 お腹も空いたし、これが軽食代わりである。
 軽い手違いで、食べれるモノが何も無かったことに今になって気が付いたのだ。
 掃除の予定も無かったし、休みの間、食事は外食で済まそうと思っていたのだ。

 これだけ連続で働いて、やっと口に入れるのがコーヒーとビスケットか……少し休憩して、後は手早く掃除を片付けてしまおう。
 そうすれば、銭湯に行くついでに何かお弁当をコンビニで買う時間くらいは出来るはずだ。

 とりあえず、今はその場しのぎではあるけれど、コーヒーとビスケットで我慢するしかない。
 そう思いながら、ビスケットのアルミ包装の封を切る。

 『サラサラサラ……』

 ええっ!?
 封を開けた瞬間……中のビスケットが全て風化し、粉となって流れていく。
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