28才の初恋
「誰か良い人が居れば良いんですけどね……」

――オシっ!!イエス!イエスイエスイエスッ!!

 心の中ではガッツポーズが出まくりだ。
 いや、現実でも拳が天上に向かっているのは気のせいだ。
 背後を歩いていたらしいウェイターが私の席の後ろでノビているのもきっと気のせいだ。

――ヨシっ!!

 ここはやはり彼女へ立候補するべきか?
 これを誘いと取るべきなのか、それとも私は候補から完全に外されているからこういう相談を受けていると判断するべきなのだろうか?

 何だか今の私、エサが檻の中に入っているタイプの罠を目の前にしたタヌキのような気分だ。
 目の前のエサは美味しそうだ、しかし……エサを口にした途端に檻の扉が『ガチャンッ!』と閉じてしまうかも……ああ、悩む。
< 318 / 518 >

この作品をシェア

pagetop