28才の初恋
「あ、アンタこそなかなかやるわね……」

 たかが温泉の卓球のはずなのだが、どうしてこんなに熱血しているのか。
 しかも、どうして小島を相手に苦戦を強いられているのか。

「ヘヘヘ……私ぃ、高校の頃に全国で優勝したこともあるんですよぉ」

 な、何だと!!
 そんな過去を持ってるなんて、反則だ!
 最初からそう聞いていれば、もっと本気を出したのに!!

 そう思っている間に――小島に再びポイントを取られた。

 二十九点対二十七点。

 私が不利なままに、とうとうマッチポイントになってしまった。

――このままではヤバい。

 恋でも卓球でも……私は敗者になってしまうのか?
 何としても……勝たないといけない勝負なのだ!
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