28才の初恋
　というわけで、露天風呂にやって来たのだが。
　ラッキーことに入っているのは私だけのようである。

　温泉旅行のシーズンからも外れているし、時間も若干遅いこともあるのだろう。

――誰も居ないなら、きーちゃんを連れてくれば良かったかな？

　という思いが浮かぶ。
　かけ湯も気に入っていたようだし、こんな機会も滅多にないのだから。

　しかし、今まで『元はヘドロだし』と思ってお風呂場を避けさせていたのだが……温泉が平気だとは思っていなかった。
　これからは一緒にお風呂に入れてあげようと思う。
　そうすれば少しは臭いも治まるだろうし。

　なんて事を考えていると、脱衣所の辺りで物音が聞こえた。
　そちらに視線をやると、脱衣所の中に人影が見える。どうやら誰か入ってきたようだ。
< 427 / 518 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop