28才の初恋
 私のお詫びの言葉を聞いて、今度は大樹クンも顔を真っ赤にする。
 一旦、私の顔から自分の顔を離して、頬の
辺りをポリポリと掻くような仕草を見せてから……今度は大樹クンが私に耳打ちをしてきた。

「その……俺、気にしてませんから。謝らないでください」

 そう言って、私の耳から顔を離す。
 顔を赤くしたまま、ニコっと微笑む大樹クン。
 サッと私に向かって手を上げてから、クルッと振り返り、磯野たちがいるグループに混ざって行ってしまった。

――気にしてない。

 その言葉が私の脳裏をグルグルと駆け巡る。
 それは……良い意味で気にしてないのか?
 それとも、私のことをそんなに意識していないから気にならないという意味なのか?

――やっぱり、私ってば、大樹クンに嫌われた!?
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