28才の初恋

8-5

 阪急京都線、四条烏丸駅から各路線に繋がるターミナル駅である梅田までは特急に乗って一本である。

 何の考えも、予定さえ立てず。私は衝動の赴くままに阪急電車に飛び乗った。
 電車に乗ってから、大樹クンにただ一言『会いたいです。梅田で待っています』と短いメールを送り、返答のメールさえ待たずに携帯をカバンの中に仕舞い込んで電車に揺られた。

 大樹クンが何をしているのか分からない。
 久しぶりの休暇で、家で寛いでいるのかもしれないし、ひょっとしたら地元の友達に会っているのかもしれない。

 それでも――逢いたい。ひょっとしたら、私に会いに来てくれるかもしれない。
 そんな期待を胸に、私は約束さえしていない待ち合わせ場所に向かっている。

 バカげてる、自分でもそう思う。
 大樹クンの都合さえ考えていない、そんな自分勝手な考えを行動だということも分かっている。

 でも――どうしても今、会いたい。
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