28才の初恋
……と、座敷を出ようとした瞬間だ。

 店のスリッパを履いていると――大樹クンが戻ってきた。小島と一緒……ではないね。
 あれれ?私の勘違い……に、決まってるよね!
 大樹クンには私という人間が居るわけだし。

「あれ? 課長もトイレですか?」

 少し顔を紅くして、陽気な調子で大樹クンが聞いてくる。
 お酒に弱いところを見せる大樹クンも……ちょっと可愛い。
 今度、うまく二人きりになれたらお酒をイッパイ飲ませれば……押し倒せるわけだ。
 ぜひ実行しよう……そうしよう。

 でも、大樹クンって本当にお酒に弱いんだねー。
 
――まさかピッチャー四杯でダウンするなんて思っていなかったよ。
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