イミトキ









「お姉ちゃん」





満天の星空の下。


私と妹は、一定の距離を開けて向かい合っていた。


歩み寄ろうとしても、足が化石したかのように動かせない。





「お姉ちゃんはまだ青魔法を使うの?」





使うよ。青魔法は、お母さんの魔法だよ。






「赤魔法はあたしの魔法だよ」






そうだね。アンリはアンリ。


私は私。





「いつもそう。お姉ちゃんはあたしのことなんてなんとも思ってないだ」





何言ってるの。大切な妹だと思ってる。






「そんなの、建前だよ」






違うよ。


本当に、大切な妹だよ。









「じゃあなんで、助けてくれなかったの」







アンリは目付きを鋭くして、炎で身を包んだ。



満天の星空が、パズルのピースのように細かく崩れていく。


崩れた星空の向こうには永遠に続いているであろう、闇があった。




やがて、辺りを照らすものは炎で身を包んだアンリのみとなった。






「見て、お姉ちゃん。こんなに明るい炎を出せるようになったよ」






わかった。

もうじゅうぶんわかったから、もうやめて。








「わかってないよ。だからさいごまでお姉ちゃんは――」






そこで途切れた。





アンリは、泣いていたように見えた。



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