気づけばキミと恋に落ちて
ドアのことなんて、すっかり忘れてたよ…。


拓篤にとって、オンナと二人きりになるのは、なんでもなくても、わたしにとっては決して、どうでもいいことなんかじゃないんだよ…。


「で。なんで、泣いてたんだよ」


戻ってきた拓篤が、わたしのトナリに座り直すと、少し前のめりになって顔を覗いてきた。


「……だから、泣いてないって言ってるでしょ。拓篤の見間違いじゃない?」


お願いだから、もう突っ込まないでよ…という気持ちと、どうしていいか、わからないから助けてほしい…という気持ちが交互に出てくる。


「へぇ。じゃあ、オレが当ててやろうか?」
「え?なに言ってるの…」


さっきまでのとはチガウ、ニヤリと笑って変なことを言ってくる拓篤に、目も口も開く。


「スキでもないオトコに、キスでもされたんだろ?」
「………」


言われた言葉が、あまりにも当たってたから、なにも言えなかった。


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