気づけばキミと恋に落ちて
***


陽ちゃんの家から出て、自宅に着いてどれくらいだっただろう。


チャイムが鳴り、カメラを見れば陽ちゃんで、忘れ物でもしたのかな、と慌てて出れば。


「やっぱり、はるが心配だから来た」


なんて。


「わたしは、大丈夫なのに」


そう言うと、わたしの頭をポンポンとして〝はいはい。強がらないの〟なんて、弟らしかぬ発言にムッ、となった。


でも、そんな陽ちゃんの優しさが嬉しくて、自然と笑顔になっていた。


だから、知らなかったの。拓篤が、どんな思いでウチまで来てたかなんて…。


陽ちゃんの存在を知らない拓篤が、どんな思いでわたしたちを見てたかなんて…。


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