このよでただ、独りだけ
序章

アレクシア、6歳

「むかーし、昔………」

今となっては思い出せないほど昔。

アレクシアが幼い頃を思い出そうとすると必ずこの言葉がついて回った。

母親が寝る前に語ってくれたお伽話。

アレクシアはその時間が大好きで、続きをせがむばかりで寝付かずに

「寝かせるために読んでいるのに、これでは意味がないわね」

と母を呆れさせていた。アレクシアは物語を愛していた。

主人公が送る波乱万丈の人生をワクワクしながら追いかける。

その瞬間が一番好きだった。

時や場所を超えて紡がれる愛や、別れを惜しむ友人の語らい、悪を倒す正義のヒーロー。

そんな物たちを心から愛する少女が、アレクシアだった。
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