帰ってきたライオン

日にちが経つのはあっという間。
本当、「あ」っと言ったら過ぎている。
なぜ一日は24時間なんだろうか。

例えば近場の火星あたりの一日はどうだろうか。
一日約24時間と39分だ。たった39分の違い。これじゃあまり変わらない。そんなこともあってか、太古の昔から火星移住計画なるものが横行しているのかもしれない。

惑星で言ったら木星はどうだ。
ただ単にもし松田氏が木星の住人だったら(名前が木星だから勝手に親しく感じて勝手に想像しているだけなんだけど)
木星の1日は約10時間程だ。

短っ。一日をもっと長くしてほしいと思っているのにこの時間では落ち着かなくて仕方がない。
ちょっと仮眠でもして起きたらもう次の日ではないか。
これでは何もできない。

ヴィーナスという名の金星はどうだ。
1日は約112日だ。
これでは逆にあまりにも長い。仕事をしてもしてもしても永遠に終わらない。

そしてここは地球とほぼ同じ大きさだけど、濃硫酸の雲に覆われていて地表では460度もある。
地表に着く前に溶けるな。住むには程遠いと思う。

私の好きな冥王星はどうだ。
2006年に準惑星に降格した元惑星。
しかしそれって冥王星にしてみれば大きなお世話だろう。勝手に下げるなと思っているに違いない。

冥王星の1日は約6日。
6日で1日だ。うん、一週間たってやっと1日が終わるのかと思うと少々長いような気もする。
そして1年は248年だ。
次のお正月が来る前に死んでるな。

死の王と呼ばれる冥王星の名は「プルート」あのみんなが知っている犬の名前じゃない。
冥王星は小さいがためか、カイパーベルトの一部とされてしまっている。

My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas.
(水金地火木土天海冥の英語バージョン。諸説あるけど、私はこれで覚えた口)

そんなワードが頭の中を駆け巡る。

なんだかこれって私にも当てはまっているじゃないかと思ったり。
ほら、会社の一部とされてるところが同じとかね、勝手に思い込んでみたりして。

「はあ。余計なこと考えてないで仕事しよう」

お正月も10日も過ぎればいつもと変わらぬ業務に追われ、息つく間もなく次の仕事。
仕事だから仕方ないけど、正月ボケはなかなか治まるものじゃない。

「成田さん、ちょっとこれ営業部に持ってってくれない?」

「はい」

久しぶりに顔をみせた神谷さんは12月半ばから長期休暇を取ってフィリピンへ旅行に行っていた。

私の上司。仕事のできるキャリアウーマン。ショートカットの髪がよく似合い、パンツスーツで颯爽と歩く姿は宝ジェンヌを思わせる。かっこいいの一言だ。

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