~Special Short Story~



「だから、お前と目黒がくっつかねーようにサッカー部の練習見てたんだっつーの」


「まったまたー。先輩が見てたのは矢城先輩でしょう?あたし知ってるんですからねっ」


フラれた相手を忘れられず、いつまでも目で追い続けていたくせに。


「ぶはっ。それさ、嘘」


「え?」


香山先輩の言葉にきょとんとするあたし。


「だから、俺は矢城のことなんて好きじゃねーってこと」


「は!?だって、前フラれたって」


「詳しく言うと逆だな。矢城から告られたことはある。断ったけどな」


まさかの事実がボンボン出てくる。


「なんでそんな嘘ついたんですか!?」


香山先輩の本当がわからなくなってきた。もしかしたら、あの告白も嘘だったのかも?


「お前に、俺のことを気にかけてほしかった」


あたしに?


「生徒手帳を拾った時は、目黒への恋心のページを見て、超重そうな奴としか思ってなかった」


最悪な印象だったんですねー。


「だけど、お前のことを見るようになって、悪い奴じゃないって思えて、うん……気になって」


あ、香山先輩が目をそらした。照れてるのかな?


< 150 / 152 >

この作品をシェア

pagetop