《詩集》言いたいことはそれだけです

灰色夜行

『灰色夜行』


僕らは並んで
窓の外を眺めてた

鈍った感覚が溶け出して
裸の足は冷たさに驚いて

足元の川に今やっと気付く

もしも寝てる間に
別の誰かが
この身に成り代わって
この席に腰掛けたなら

君はちゃんと気付いてくれる?


僕が僕で在り続ける

そんなことを保証する術なんて
この世には無いから
僕自身きっと判らなくなる

自分を知っているのは
何時だって君や他の誰かで
結局は他力本願

ぐらつく椅子の足を
裏でひっそり支えられてる

窓の奥にぼんやり映る
黒と白の中間の
寂れた小さな無人駅

二人どこまでも
行き先を共有できたら

迫る朝だって怖くないのに
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