カッコイイオトコ
首を傾げていたら、ハルヒコくんは私に視線を向けてくれた。

「マユさんて、見てて飽きませんね」

「……それは褒めてるんでしょうか」

「ハイ」

こっくりとハルヒコくんは頷いて、それからしばらく何か考えるように遠くを見つめた。

「そうですね……。マユさんに巻き込まれたら、笑っておきますよ」

「転んだら、ってことですか?」

「ハイ」

「痛いですけど?」

「そうですね。でも2人で転んだらおかしくないですか」

その言葉に、雪道で2人で滑って転ぶ姿を思い描いてみた。

……おかしかった。

「そうですね。じゃあ、笑っておいてください」

「ハイ」


そんな会話をしながら、ゆっくりと歩いていった。

徐々に長くなっていく影法師を眺めながら。





─おわり─





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