カッコイイオトコ
「あの、ありがとうございます」

お礼を言い忘れていたと、そう言ってみた。それから、一番心配なことを聞いてみる。

「あの……重くないですか?」

ハルヒコくんは一瞬だけ私の方に目を落として、また正面を向いた。

「イエ、全然。ナツキと変わらないですよ」

それは変わりますって。

ナツキくん、どう見ても20キロないじゃないですか。

軽く2倍以上はありますって。


……でも、そんなことは感じさせず、いつものように涼しい顔のハルヒコくん。

気を使わせないようにって、思ってるのかな?

「…ありがとうございます」

私は、もう一度お礼を言った。



それからまたタカさんの車に乗り込んで、病院から20分ほどで私の家に着いた。

「ありがとうございました」

すっかり暗くなり、明かりの点いた門の前で頭を下げる。

全開の窓から大きな顔を出して、タカさんはニコリと微笑んだ。

「いいってことよ! 明日は……俺、早朝から仕事入ってたんだ。だから、ハルだけよこすからな」

「えっ?」

「頑張れ、お嬢ちゃん!」

そう言って、タカさんは親指を突き出した。
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