カッコイイオトコ
半ばパニックになって泣きそうになっていたら。

ふと、ハルヒコくんが笑っていることに気付いた。

微妙に口元を緩めて、それを隠すように右手の拳を口元に押し当てている。


……あれ?

怒ったんじゃないのかな?


「……マユさん」

「うあっ、はい!」

いきなり話しかけられて心臓が跳ね上がった。

「マユさんて、変わった人ですね」

更に笑いかけられて、息が止まるかと思った。

「あ……いや、かわ、変わって……ますか?」

ヤバい。息が出来ないくらい心臓の動きが速い。そんな素敵に微笑まないでええ~!

「ハイ」

そう言って、ハルヒコくんは私から視線を逸らすと、車を発進させた。


変わった人ですね……。

なんか良く分からないけど、そんなことを言われてしまった。

おまけに、彼女がいないこと以外、何も聞き出せなかったけど。

でも……ハルヒコくんが笑ってくれたから、いっか。


次こそは、色々聞き出すぞ!

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