あなたを待つ夜
「うん、うん」

「問いただしたら、あっさり浮気認めたわけ。それでありさと別れて、その女と一緒になるって言ったわけよ」

「はあ?ありえん」

「だからよ。(そうだよね。)もう、どうしたらいいか分からん。人生めちゃくちゃ。死んだ方がマシさーね」

「そんなん言わんでよ。籍入れる前にそう言う男って分かっただけ良かったさー。もっと良い男はたくさん居るはずよ」

亜里沙の鼻をすする音だけが電話越しに聞こえる。

「今はゆっくり休んで。いつでも話聞くから」

優子は自分のしていることの重さに改めて気付かされることになる。

豊だって、自分だって、彼の奥さんと子供に対して最低の裏切り行為をしているのだ。

どうしてそれを分かっていながら彼と離れることができないんだろう……。
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