あなたを待つ夜
優子が給水室でコーヒーを淹れていると、豊がワイシャツの袖を捲りながら入ってきた。

「お疲れさん」

豊は紙コップを手に取りながら言った。

「お疲れ様です。午後は眠くなりますね」

「だよなー。俺も今眠さがピークだよ。今日は何時に帰れるかな。早く帰りたいな」

「お家で奥さんが待ってますもんね」

「そんなことないよ。俺、嫁と仲良くないし」

「えー、そんなー」

よく言うよ、と優子は淹れたばかりのコーヒーをすすりながら思った。
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