あなたを待つ夜
そろそろお開きと言う頃、時間は既に12時を15分ほど過ぎていた。

優子は猛烈な眠さと酔いに襲われ、ふらふらとした足取りで階段を降りていく。

「優子ちゃん大丈夫?」

後ろから豊が声をかけてきた。

「あ、はい。大丈夫です。ちょっと気持ち悪いですけど…」

大丈夫とは言いながらも、さすがに吐き気が込み上げて来る。

「どこに住んでるんだっけ?」

「○○です」

「あ、そうだっけ?俺○○だから乗っけてくよ」

優子が返事をする間もなく、豊はタクシーに向かって手を振った。

しばらくタクシーに乗っていると、凄まじい吐き気が込み上げて来た。

「お姉さん大丈夫かね?もう着くから我慢してね」

初老のタクシードライバーが不機嫌な面持ちでハンドルを握っているのがルームミラー越しに見えた。

「運転手さんごめんね、一旦ここで降ろして貰える?ちょっとしたら戻って来るから」

優子はタクシーから降りるなり、その場にしゃがみ込んでしまった。

ぼたぼたぼた、と吐瀉物が優子の口から溢れ、地面に散らばった。
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