僕らのはなし。①
「へぇー。
宿泊学習…またいちいち豪勢だね。」
「だよね。
私はその間思いっきりレッスンしたり働くつもり!!」
「そっかぁ。」
「あの学校自体も金銭感覚ズレてるよね。」
そんな話をしていると、柚瑠の携帯が鳴った。
「ママからだ。
ちょっと出るね??」
柚瑠は私に一言言って、電話に出た。
「もしもし?
えっ、ホントに??
ちょっと待って、湊に聞いてみる。」
何か突然私の名前が出たので驚いていると、こっちを向いた。
「湊、今週の土日空いてるよね??」
「うん。」
「おばさんがホテルやってるの知ってるでしょ??
前に手伝いに行ったとこ。」
「あぁ…あの高級ホテル?」
「そうそう。
また手伝いに来てほしいって。
大丈夫??」
「うん、大丈夫。」
「じゃあママにそう返事するね。」
そう言うと、柚瑠はまた電話で話し出した。
柚瑠のママのお姉さんは、高級ホテルのオーナーの息子で支配人をしてる人と結婚した。
その関係で以前一度手伝いに行った事があるのだ。
ちょうどその日は宿泊学習の日程とも重なってるので、ガッツリバイトする気だったから、私は迷う事なくOKした。
それにあそこなら、空いた時間にピアノが弾けるし。
昔行った時に、私の弾いてるのを聴いたオーナーさんが気に入って、ホテルのディナー用の広間に置いてあるピアノをいつでも弾いて良いって言ってくれたのだ。
「…うん!
あっ、時給高くしてね!!
えっ、ホントに??
分かった!湊にもそう伝えとくね。」
そう言うと、柚瑠は電話を切った。
「湊、時給1500円だって!!」
「まじ?
やったぁ!助かる!!」
思いがけない時給に驚きながらも2人して大喜びした。
その後は、マスターに話したり、何時に待ち合わせして行くとか簡単に予定を決め、帰る事に。
帰宅すると、ピアノを始めた頃にパパが自分のお小遣いをやりくりして買ってきてくれたエレクトーンにイヤホンをさして、ピアノの練習をした。
そうしないと、夜遅くまで練習出来ないし、ご近所にも迷惑だしね。
そして、土曜日…私は早朝柚瑠と待ち合わせて、電車に乗って隣県にある柚瑠のおばさんのホテルに向かった。
「人手が足りなくて、各部屋の清掃とかが間に合わないらしいの。
それさえ終われば、大丈夫らしいんだけど。」
「うん。
頑張らないとね。」
電車の中で少し睡眠を取って、昼前に到着した。
「麻実さん!!」
「柚瑠!!
湊ちゃんもよく来てくれたわね!!」
「お久しぶりです。」
麻実さんというのは、柚瑠のおばさんの事。
何故か私も姪の柚瑠も名前呼びしてる。
ホテルに着いて直ぐに入り口で、私達を待ってくれてた麻実さんに挨拶した。
「これから2日間、2人とも宜しくね!!」
「はい!」
「頑張ります!!」
それから、従業員の人達やオーナー(麻実さんの旦那さん…和弘さんのお父さん。つまりお義父さん)にも挨拶して、直ぐに各部屋の清掃を開始した。