僕らのはなし。①
6.2人の夜。



それから、約半月が経ち…6月の梅雨の時期になった。
スッカリ伊崎の嫌がらせもなくなり、クラスの女子の陰口程度にまで収まったから、私は花とまた一緒に過ごすようになっていた。


お昼にラウンジで花とママが作ってくれたお弁当をいつものように食べて居ると、入り口が騒がしくなった。

視線を向けてみると伊崎が入り口に突っ立っていた。
向こうも誰か捜してるようでキョロキョロしてたかと思ったら、こっちを見て歩き出した。

私は一瞬視線を向けたけど、私じゃないだろうと再び食べ始めた。


「湊!何か伊崎先輩こっち向かって来てる気がするんだけど。」
「誰かに用なんじゃない?
花、気にせず食べよ。」
そう言って、私は全然気にせずに食べ進めてたけど、誰かが隣に立ったのを気配で感じた。

「何?」
勿論それは伊崎で。
私は少し怪訝な表情で聞いた。

「今週の日曜、士都麻時計広場前に午後2時。
遅れたらぶっ殺す。」
顔をめちゃくちゃ近づけてきたと思ったら、それだけ言ってあっという間に行ってしまった。


「…はぁ?
何あれ?意味分かんないんだけど??」
「デートの待ち合わせじゃない?」
「えっ、誰と誰が?」
「だから、先輩は湊をデートに誘ったんでしょ?」
「あぁ…何かあんまりにもピンと来ない事だったから全然理解出来なかった。
てか、あり得ない!!
最近のアイツ、全然意味分かんないんだけど。」
「湊は良いなぁ。
大切に想ってくれる人が居て。」
そう呟いた花は何だか少し悲しげで儚く見えた。





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