LoVendoЯ~あの日の約束~
:蓮side:





昨日の明日香の泣き顔が
頭から離れなくて今日は早めに家を出た。




教室に入ろうとすると
中から誰かの声が聞こえた。




「ー··昔の蓮を探すのはやめてくれ」


ー··翔?




誰と話してるんだ?

俺は翔が誰と話してるのか気になり
ドアに寄りかかりながら
耳をすませた。



どうやら、翔と話してるのは
明日香らしい。





「··ーそばにいたいの」



「..っ!」



明日香の気持ちを嬉しいと思う
自分がいる。




これ以上、明日香の声を
聞くと決心が鈍ると思い、教室を
あとにした。





屋上に行き、グランドを見ると
ちらほら登校してくる生徒の姿が。




ギィィィー。




屋上のドアが開き



「お前聞いてただろ」


と、翔の声が聞こえてきた。





「なにを?」


俺は明日香の話題にしたくなくて
はぐらかした。




それでも翔は俺の本当の気持ちを
知っている。




「お前、本当にこれでいーのかよ?
明日香ちゃんは今でもお前のこと..」



「んなの分かってるんだよ!」


俺は翔が言い終わる前に叫んだ。




分かってる..。明日香が今でも俺を
想ってくれてること。



本当は、俺もだよ。って言いたい。




でも俺じゃ、あいつを幸せにできない。



1番愛してほしかった人に
俺は捨てられた。



愛せば失う。愛せば捨てられる。
俺は、あの人から教えてもらった。




明日香を失うくらいなら
明日香に軽蔑されるくらいなら
俺の気持ちは一生
胸に秘めたままでいい。



これが..あいつのためなんだ。

















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