花椿
雨月堂
大事にしているもの、思いを寄せたものには想いが宿る。


想いが宿ったものには持ち主の思いを汲み取り、もの自体に意志が生まれることもある。


「雨月堂」は橋の袂にある古い骨董品店である。


ごく普通の骨董品を扱う普通の骨董屋だが、雨月堂には時として曰く付きの品が持ち込まれることもある。


年老いて尚、矍鑠と骨董品を探し歩き、たびたび店を留守にする店主、与一に小言を言いながらも店主の留守を預かる青年、漣。



彼らは祖父と孫の間柄だ。


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