奥様のお仕事
大粒の雪は 手のひらにのると 一瞬で溶ける前に
綺麗な形をしていることを教えてくれた。


「雪の結晶ってね すごく綺麗だよね。
理科の授業で習ったけど 絶対見ることなんかないって思ってた」


「そうだね マリンが勇気を出して
島を出たからだね」


「じいちゃんと見る約束してたけど・・・・・」


「俺じゃ役不足かい?」


はしゃいでいた心にその言葉が反応した。


「うう・・・・あぁ!!!」
言葉を返すのよりも先に大事なことに気づいた。


「あ 私ったら 起きたまんまで・・・・・
それに 無理やり起こしたり 図々しい言葉使って・・・
ごめんなさい」


急に自分の置かれている立場に 戻された。
私ったら はしゃいで 何だかすごいことしてたかも



「すみません すみません」



「どうせ 外に一緒に行こうかなって
思ってたからさ。 寒いし ここでも楽しめるな」



現実に引き戻されて 体が一気に冷え込んだ。


「震えてる?」


腰に回された手に 今さらながらドキドキし始める。



「いや 急にあの・・・寒く・・・・・」


言い終わる前に後から強く抱きしめられた。
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