奥様のお仕事
余った料理を大皿に入れてラップをした。
思ったより売れた 手作りおせちも 二段に並べ替えた。


「けっこう食べてくれてたね」


「うん 嬉しかった
おばあさんが 黒豆全部食べてくれた」


「よかったな~」

キッチンへ行って カートを持ってきた。


「無理しないでいいんだぞ
疲れただろう?」


「普通の主婦なら絶対片づけてるから
明日新しい年にこんなことから始めるなんて
鈴木さんも気の毒だよ」


浩一郎もカートに皿やグラスを乗せてくれた。
一緒にキッチンにも立って 片づけを手伝ってくれて
私はすごくすごく嬉しかった。


「お手伝いありがとう」


私が言うと ニッコリ微笑んで


「お年玉はある?」と言った。


「ん・・・・お金はないけど いい子してあげる」


浩一郎の頭を撫ぜてあげた。


「帰ってきてくれてありがとう」


年上のそれも 雇い主に失礼な行動かもしれなかったけど
どうやってこの気持ちを表したらいいのか
わからなかった。


本当の夫婦なら抱きついて キスでもしたいくらいだけど
まさか そんなことはできないし


少しでも触れられるとしたら
こんな形でしかないよね・・・・・・。


「すごい嬉しいお年玉だな」
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