海辺で恋するシンデレラ ~ Side story ~

「ふ~ん……ま、いっか。さ、帰ろ」



そうね、帰らなきゃ。

って、え?帰るの?

急な展開に付いていけない私を他所に

夏生さんは、キッチンから出て帰り支度を始める。



「帰らないの?もう三時だよ」

「いや。帰る、けど……」



スプーンを口に加え、ちょっと寂しいアピール。

もっと一緒に居たいって言ったら引かれるかな。

でも、きっと彼も疲れてるんだろうし

明日……って今日か。

今日も仕事だろうし、ねぇ。

帰してあげなきゃ、だよね。

うん。仕方ない。



「あ、お皿。洗ってからの方がいいよね」



少しでも長く居たくて、ちょっと悪足掻き。

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