モノクロ世界の俺
ハジマリの世界
林檎は黒、空は白。
それが俺の世界だ。
何時からだったか覚えてない。
ともかく俺の世界はその二色だったんだ。
俺はこれから一生をこのモノクロの世界で生きていく、そう思っていた。
…この世界にアイツが現れるまでは。

「なあ、文(あや)!聞いてんのか?」

ん?どうした?
何かあったのか省吾。
弁当をひっくり返したのか?それかその弁当すら忘れたのか?しかし俺は金を貸さんぞ。

「いや、そういう事じゃなくてさ!さっきから言ってるじゃんか、女の子の転校生が来るんだってよ!」

転校生?
女の子?
…興味がないんだが。
まあ、女好きなお前なら盛り上がりそうだな。
それより、お前今が何の時間か知ってるか?

「は、何の時間かって?それはもちろん…」

「HRだ!」

怒鳴っている担任の教師に頭を叩かれ、いてえ!とか呻いている省吾を見て思わず笑ってしまう。

唐突だが、自己紹介だ。
俺の名前は葛西文。かさいあやって言う。
運動も勉強もそこそこな、平均的な男子高校生だ。
唯一特別なのは俺の目が白と黒の色以外認識できないという所だ。別に人生苦労してる訳じゃないし、なんとでもなる。
今痛みに目の端に涙を浮かべている久野省吾(くのしょうご)という悪友もいる。

「はい、知っている奴も居ると思うが…転校生を紹介する!」

教室の主に男子から歓声が上がる、全く…ガキかこいつらは。
担任が教室の扉を開けると一人の女子生徒が入って来た。

俺はその瞬間、絶句することになる。

なぜならその女は…「金髪」で「碧い目」だったからだ。
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