西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
「俺のメアドと番号。夜にでもメールちょうだい」

 それだけ言って、彼はヒラヒラと手を振り、足早に廊下の先へと消えて行った。

(………意外と綺麗な字ね)

 メモを広げて中を見ると、顔と同じくらい整った字で、番号やメールアドレスが書かれていた。

 このご時世、赤外線とやらでケータイの連絡先など簡単に交換出来るのに、何とも古風でいらっしゃる。

 ・・・或いは、誰かに見られてはと、気を遣ったのかもしれない。

(……そう言えば、この学校で連絡先もらったの初めてかも)

 もう何年も新規登録が無かったケータイのアドレス帳。

 久々の更新が、まさか永峯 瑠愛とは・・・。

 不思議な事もあるものだ。



 今夜、メールしてみよう。


 
 
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