西森さんと瑠愛くん。(仮)

　
　拝むような代物でも・・・と思いながら、私も何か他に食べようかとお弁当箱を見ると、もうさほど、残っているものがない。


　さすがに、男の子。

　二人分の量がわからず、作りすぎたかと思ったが、心配いらなかった。

　無理して食べてくれたのかなとも思ったが、ほくほくしている永峯君を見る限り、それもなさそうだ。


　本当に美味しくて、食べてくれたのか・・・。


(………ありがと)

　声に出すほどは可愛いげがないので、心の中で呟いた。

　自分の作った料理は、自分でしか食べないから、美味しいのかそうでないのかなんて、わからない。

『デートする女の子がお弁当作ってきてくれたの、初めてだから…』


　──私も初めて、誰かに料理を作ったのよ？