西森さんと瑠愛くん。(仮)
チワワとプリクラ。
 
「プリクラ撮りたい」

 家路の途中、駅前の繁華街を歩いていると、ゲームセンターの前でチワワが目を輝かせた。

「え」

「プリクラ撮りたい、ねぇねぇ、プリクラ」

 私と機械を交互に見ながら、永峯君はどんどんそちらに近付いて行く。

「ちょっ、ちょっ、待って! 待て! stay!」

 思いのほか強い力に引き摺られる私は、思わず本物の犬への声かけになった。

「ご主人っ! プリクラ撮りたいワンッ!」

 悪乗りした永峯君が、見えない尻尾をブンブンしながら、好奇心旺盛な瞳をさらに輝かせる。

「こんな不細工と撮ってどうするの! もっと他の可愛い子といっぱい撮ってるでしょっ!?」

 声を荒らげるが、言うことを聞かないチワワは、さらに私を引きずって行こうとする。

「撮った事ないから言ってるのぉ! それに西森さんは不細工じゃなぁい!」

 なおも腕を引く彼の、撮った事がないという言葉が信じられず、思わず無抵抗になった。
 
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