西森さんと瑠愛くん。(仮)
微かな差異。
 

「おかえりなさぁい」


 無事、永峯家に到着すると、エプロン姿の椿さんに出迎えられた。

「ただいま」

「ただいまです」

 昼間聞いた話の事もあって、顔を見るまで緊張したが、椿さんの麗しいでござるエプロン姿を見たら、どこかへ吹き飛んだ。オッサンか私は←

 夕食の支度をしていたのか、玄関にも良い匂いが届いている。

「お夕飯まだでしょう?」

 靴を履き替えていると、椿さんにニコニコと訊ねられた。

「うん、食べてない」

 何故か永峯君が即答して、私を振り返る。

「夕飯、食べていってよ」

「え。でも、悪いし……」

 改造や切符、ワンピースと、今日は永峯君にいろいろお世話になってしまった。

 その上、ご飯までご馳走になっては・・・。

「西森さん、お弁当作って来てくれたでしょ?」

 彼が持ってくれていたクーラーバッグをかざして、私の手を取る。
 
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