西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
 なんて、しなくても良い想像をしていると、途端に足が絡まった。

 躓き倒れそうになる私を、彼は王子様オーラを全開に放出しながら、

「危ない危ない…西森さんの素敵な顔に、傷が付いちゃうところだったね☆」

 とか、ガムシロップを一気飲みするくらい甘い言葉を吐きながら、私に笑顔を向けてくる。

(あぁ……やってしまった……)

 周りでそれを見ていた女の子たちの悲鳴と、敵意の視線とが、一斉に私へ突き刺さる。


「またアノ子よ、アノ子……」

「いつも逃げるくせに……」

「るぅ様の気を引こうとしてるだけよ」

「学校一地味な女の分際で……」


 取り巻きで騒然となっていたその場は、いつの間にか私を罵る言葉で溢れていた。
 
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