エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~
「システム部の北野裕也です」

「あ、あなたが女子に人気の裕也君か。僕、この店よく来るんだけど、そっちはもしかしてデート?」

どこまでも白々しい。

「いえ、今日初めて葵さんと食事に来たんです。ファントムの案件にからむことになったので、そのことも聞きたくて」

「そう、じゃ、僕も合流していい?」

「どうぞ」と言うしかないので、本当に沃野に飛び入り参加されてしまった裕也と葵の初デートは、ただの仕事の延長戦の食事会になってしまった。

「そういえば今朝はUSのエンジニアとテレコンしたんでしょ。どうだった?」

「2週間くらいで作ってもらえるよう、リンダに直談判してもらったけどダメでした。ほかにも優先順位の高いやつがあるから最短で1カ月かかるそうです」

「あんなんで1カ月? リンダの交渉力、弱すぎっ!」

「あのー、沃野さんて、いくつですか?」

「23。北野さんは?」

「え、そんなにお若いんですか」

自分よりも年下が、ポジションとしてはずっと上になるので、自然と敬語になる。

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