この気持ちをあなたに伝えたい
 美鈴が最愛に敵意を向けていた理由はこれだった。
 最愛が餌打を横取りしようとしていないことを言っても、美鈴は聞く耳を持たなかった。

「噂を聞いたのよ・・・・・・」
「何の噂?」
「渉があんたに迫られたから、あんたを好きになって、そういう関係であること!」

 どこまで噂が広がっているのか、もうわからなかった。人間は本当に噂が好きであることを最愛は思い知った。

「この間、渉に何を言われたか教えようか?」
「何を言われたの?」
「前に彼に呼ばれたの・・・・・・」

 以前、美鈴は餌打に携帯電話で呼び出されたので、急いで餌打が待っている場所まで行った。
 好きな人が自分に会いたがっていることを知り、美鈴は嬉しくて、笑みを浮かべていた。
 だけど、そうではなかった。
 

「どうしたの? 突然、呼び出したりしてさ・・・・・・」
「ちょっと話したいことがあったからさ」

 いつもと様子が違うので、何か相談でもあるのかと、このときはまだ思っていた。

「何? 話だったら、いくらでも・・・・・・」
「面倒になった」

 言われたことを理解することができず、美鈴は困惑するだけだった。

「何が?」
「お前のこと、面倒になったんだ」

 餌打のひどい言葉を受けて、美鈴の心は鋭利な刃物で突き刺さった。

「何よそれ? あたしに告白してくれたでしょ? あたしのことが好きなんじゃないの!?」

 それは餌打が美鈴に何度も言ったことで、その度に喜んでいた。

「口ではどうとでも言うことができるだろ? こっちにとって都合が良かったから、近づいただけだ」
「なっ!」
 

 美鈴は足元から崩れてしまいそうなくらいに震えていた。
< 153 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop