この気持ちをあなたに伝えたい
近づいた目的
 後日に美鈴について情報をいくつか手に入れた。美鈴は同級生で二年五組の生徒。高校一年生の冬に餌打の恋人になった女子生徒。
 最愛が手に入れた情報は少なかった。
 三日経過しても、美鈴は風邪で学校を休んでいた。彼女の友達も心配していて、何度かメールを送っていて、返事を返しているようだった。
 学校を休んでいるのは風邪だけではないことを最愛は知っていた。

「一緒に美鈴のお見舞いへ行かない?」
「うーん、行きたいんだけれど、どうしても抜けられない用事があるから。ごめんな?」
「そっか、じゃあ、仕方ないね・・・・・・」

 美鈴の友達はそれを信じたが、餌打の表情を見て、最愛は疑った。

「風邪を早く治すように言っておいてくれよ」
「わかった、じゃあね」

 美鈴の友達にすら、平気で嘘を吐く餌打。
 最愛がそれを遠くから見ていると、彼女達が去って行った途端に安心したように笑みを零した。
 餌打を睨みつけていると、美鈴の友達が最愛に向かって歩いてきたので、最愛は二人に声をかけた。

「苗村さん、具合はどう?」
「名波さん?」

 最愛の顔を見ると、二人は顔色を変えた。
 一人の女子がもう一人の女子に目配せをしていた。この様子だと恐らく彼女達も最愛と餌打のことを聞いているから、警戒している。

「私、苗村さんと親しくなって、連絡先を書いたメモをくれたんだけど、うっかりなくしちゃったの」
「そうなの?」
「でもさ、名波さんと餌打君は・・・・・・」

 その先を言われる前に最愛が本当の気持ちを伝えた。

「あれは他の生徒達が勝手に流したデマだから。こっちも迷惑しているの」
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