もしも恋をしていたら
〜写真~
「もしもなんてない。」

そう私に言い放った男に、彼女はどこか悲しく、どこか誇らしげにこう言い放った。

「もしも私があなたを許したら?」

・・・10年も前のこと、それでも忘れられない
秋の物語。

~10年前~

佐藤咲愛(さとうさら)17歳。
高校2年。
普通の女子高生。

そして私の隣にいる綺麗で黒い髪が
とても似合っていてクールという言葉がぴったりな女の子。
葉月初花(はづきはな)17歳。
高校2年。

私たちは幼馴染みだ。

「だはっ!」

「!?」

「やばいよ!」

「やばいのは咲愛の頭じゃないの?」

「田中志埜(たなかしの)がお父さんだって!?」

「だって家に写真があった。」

「それだけでしょ?」

「違う!・・・」

「どーしたのー?」

「なんでもない。」

「・・・?大丈夫?」

「うん。また話す。」

田中志埜(37歳)、町では人気のカフェのシェフ、そして私がそこで働いている。


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