君色-それぞれの翼-
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「冬期講習…ですか。」
坂田先生に手渡された紙には、太字で『冬期講習申込書』と書かれていた。
「まぁ、過去問ときまくるだけなんだけどね。」
サラッと「ときまくる」なんて言葉を使う先生は、一応清楚なイメージの教師だ。
「去年は皐君一人だったから、実施しなかったのよ。」

その言葉で気付く。
あたしが入ってくるまで、戸谷君は一人だったことに。
あたしはチラッと戸谷君を見た。
相変わらず冷めた表情。
ポーカーフェイスは会った時から変わらない。

戸谷君は…自分が和に来たことについてどう思っているのだろうか。

たまにそんなことを考える。

「あ、そうそう。」
丁度、坂田先生はタイミング良く嬉しいことを言ってくれた。
「私、皐君の笑顔見たのつい最近だわ。」
そう言ってあたしの方を見てくる。
「希咲ちゃんが来てからよ。」
先生はニッコリ笑った。


あたしは胸がジーンとなった。

それ本当?


その時、戸谷君が珍しくチラッとあたしを見てきた。



もしかして、戸谷君を少しでも変えれた…?


特に目標としていた事でもないのに、嬉しさが込み上げる。




あたしは目が合った戸谷君に笑いかけた。



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