君色-それぞれの翼-
翌日

あたしは勇気を出して1組の戸谷君の席に向かった。

…まぁ、朝早いから殆ど人なんていないけど。


あたしは1組の苗にドアの前にいてもらい、戸谷君に近付いた。



「えと…コレ…ありがとう。」

紙袋に入ったマフラーを差し出すと、戸谷君は「あぁ、」とぼやいて受け取った。

「あ…」
戸谷君が声を発したのは、視線がドアに向かった時だった。

「え?」

あたしも視線をドアにやる。


「苗――――!!」


いなくなっていた。

「じゃあね、戸谷君!!」

あたしはそれだけ言うと自分の教室に駆け込んだ。

2組では苗が何食わぬ顔であたしの席に座っている。

「何でいなくなるのよ!!」

「いやぁ…邪魔しちゃ悪いかなーと思って。」

「なっ…にが!!」

あたしの反応を見て、苗は悪戯っぽく笑った。

「だってわざわざコピーしてくれるなんて…優しいじゃない?普段無愛想なあの人からは想像出来ないもの。」

言葉に詰まる。

苗は少し苦い笑顔を零すと、自分の教室に戻っていった。




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