あの続きは給湯室にて
夜はまだこれから。


触れた唇は、想像していたものよりもずっと柔らかいものだった。

数秒間触れるだけのキスをすると、ゆっくりと体を離す。と言っても、未だ十数センチの距離で見つめあっているので、お互いの息遣いまではっきりと聞こえているほどだ。

大きく、目尻が上がった猫のような瞳を見つめる。

女の子なら誰もが羨ましがるようなその綺麗な瞳が、今は私だけに向けられていると思うとお腹の底の深い部分がゾクゾクとする。


ねぇ、続きは?

そんな気持ちを込めて、次は私から、さっきまで触れあっていたその唇にチュッと口づけると、彼の肩が一瞬ピクンと弾んだのが見てとれた。


「……もっと、しよ。」

ね?、と首に両手を回して見ると、彼は何かスイッチが入ったかのようにこちらは身を寄せてきた。

息をすることも許されないような、言葉の如く食べられてしまいそうなキスだ。


普段の彼からはまるで想像もつかない男の部分。それが私にぶつけられている。

その事実がさらに気持ちを高め、互いの熱を上げていく。


あぁ、もう私も、きっと彼も止めることが出来ないだろう。


ぼんやりとそう思いながら、彼のワイシャツに手をかけた――




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