ツンデレ君の虜。【完】
ツン猫の習性。
私のクラスには。



誰にもなつかないツンとした猫男子がいます。



誰が話しかけても知らん顔で。



だから…彼の周りにはいつも誰もいない。






「奈留(なる)~今日の数学の章末テストわかんないんだけど…」



そう言ってくるのは私の心の友、雛(ひな)。



「え。…数学の章末テスト?!」



「まさか覚えてなかったの?」



「うん…」




私は息をついた。



数学なんて全然勉強してないよ…



そうしていると休み時間終了のチャイムが鳴った。



私は雛と別れて席へと向かう。









ツン猫男子の前の席に。








「あーあ…ほんとにどうしよう…」



私は頭を抱えた。



数学なんて全然わかんないし…



私、超バカだし!!



私は数学の教科書とにらめっこしたままうなだれる。



勉強しとけばよかったなぁ…




そうしていると。





「公式さえ覚えてれば解ける。」




そう聞こえてくる…神の声??



ハッとして振り返ると…後ろにはあのツン猫。



彼は私が振り返ったと同時に目をそらしてしまった。



…もしかして…?



私はそんなことを思いながらまた教科書に目を戻し、言葉通りに公式を覚えた。







そして…



「では始め。」



先生の合図で私は問題にとりかかった。



すごい…!!



本当にスラスラ解けるのだ。



公式を覚えただけなのに…




私はいつもよりペンが早く動くのを感じ、とても嬉しくなった。





こうして満足したテストが受けられた私だった。
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